専門知識

ヒントとコツ

「北米にはどの保護等級が適用されますか?」

IP、NEMA または UL タイプレーティング - この中のどれでしょう。正しい選択を北米用のアプリケーションのためにするには、それなりの理由を挙げる必要があります。絶対に知っておくべきこと:

  • IP 保護等級は、国際規格 IEC 60529 に従って、2つの識別番号と、必要に応じて追加の文字で表記され、電気機器のハウジングに - 北米の規格が適用される国以外の - 世界中で使用されています。
  • 北米の地域では、NEMA の保護等級が要求されることが多く、これは IP システムに 1:1 で置き換えることはできません。試験方法、名称、また記号の付け方が大きく異なります。
  • 北米で使用する場合、製品には通常 UL 認証が必要ですが (例えば、UL 508 A に準拠した産業用コントロールパネル)、それ以前に、空のハウジングには UL タイプレーティングが要求されますが、これについては銘板に記されています。

NEMA による決定事項は、対応する UL 試験の基礎であるため、UL タイプレーティングと NEMA タイプレーティングはほぼ一致しています。NEMA 表記は、メーカーの責任によって行われ、UL 表記は、第三者機関の試験結果によります。すなわち、IP 表記と NEMA 表記は、北米市場での使用を明示的に意図しておらず、UL 認証を必要としないハウジングには適切なものです。設置場所がどこであろうと、UL 認証が要求されるハウジングの場合は、UL タイプレーティングが適切です。

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)

その他のヒントとコツ

機械メーカーや設備メーカーがよくする質問です。例えば、マウンティングプレート上に固定してあるトップハットレール (DIN レール) に電気部品をはめ込もうとする場合の質問です。

DIN EN 61439-1/-2 および DIN EN 60204-1 が答えを出します。これによると、保護導体接続の一部として導電性構造部品が許可されるのは、耐久的で良好な導電性と十分な電流容量を持つ接続の基本要件が満たされている場合のみです。これらが満たされている場合、サポートレールは、ベアメタルのマウンティングプレートへ大面積の接点を持つ固定部を介して、または、エンクロージャーシステム (本体フレーム、拡張レールなど) に固定する場合は、固定部品 (アングルブラケット、スペーサーボルトなど) を介して、保護接地導体に適切に接続されることになります。ことばの説明:

  • 耐久的: 接触部は、機械的負荷の下でも緩むことなく、酸化 / 腐食に対して保護されている
  • 良好な導電性: トップハットレール (DIN レール) 上のコンポーネントの接点と外部保護接地導体の保護接地導体接続箇所との間の測定された抵抗値が < 0,1 Ohm
  • 十分な電流容量を持つ: 接触断面 / 接続断面で、必要とされている別の銅製保護接地導体に対応している必要がある

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)

この質問に関して設備メーカーは、保護等級 IP 55 以上のみを検討対象することがよくあります。しかし、他の重要な側面は簡単に無視されます。

原則として:IP 保護等級は、国際規格 IEC 60529 に従って、2つの識別番号と、必要に応じて追加の文字で表記され、電気機器のハウジングに使用されます。ただし、この規格では、あり得るであろう電気機器のすべてのアプリケーションを正確にマッピングできない、実験室における試験について記載されています。

特に、横殴りの雨や氷の形成などの長期的な天候による影響は考慮されていません。ほこりや湿気の侵入に対する保護に加えて、腐食に対する保護にも注意を向ける必要があります。したがって、特殊なコーティングまたはステンレス鋼の使用が適切な場合があります。もう1つの重要な側面は、結露によるリスクの増加や、追加される熱負荷 (熱源) としての直射日光に対抗する温度調節機器の仕様決めです。

結論:屋外での使用が明示的に記載されていないエンクロージャーは、この用途から基本的に除外されるわけではありません。ただし、屋外での使用が可能な条件や、説明されているようなその他の合理的な「アップグレード」措置は、メーカーと明確にする必要があります。

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)

この問題は、エンクロージャー内の制御装置や分電設備に、多種多様の機器やコンポーネントを装備する場合によく発生します。

低電圧開閉装置および制御装置アセンブリーの場合、取り付けには通常、マウンティングプレートを使用します。計画を立てる際には、安全面だけでなく、温度調節や EMC などによる機能上のリスクも考慮することが重要です。これは、保護装置と開閉器を介して、バスバーシステムから給電される、パワーエレクトロニクス コンポーネント、制御コンポーネントや、通信関連コンポーネントを使用する場合に特に重要です。

特に、このようなコンポーネントのメーカーは、設置および運用マニュアルなどで、配置や他のコンポーネントまでの距離について非常に正確な要件を設定することがあります。誤動作や損傷が発生した場合に保証請求ができるように、このような仕様に従うことは不可欠です。

そのため、特に小型の機械など、利用可能なスペースが限られている場合は、取り付け用のシステムパーツが数多くあるアクセサリーを使用して、エンクロージャー内を可能な限り効果的に利用することがますます重要になってきます。

19 インチベースの機器類の不動取り付けまたは旋回可能取り付け、さらに、小型マウンティングプレートによる追加の実装面の構築もサポートする必要があります。これらは、エンクロージャー内の側面またはメイン マウンティングプレートの前面に、旋回式にまたは傾斜さながら取り付けることができます。

それらを使用して、ホットスポット (熱だまり) を回避したり、電磁波による影響を減らしたりするための適切な距離を取ることも簡単に実現できます。さらに、EMC 用の、金属面がむき出しになっている、耐腐食性で導電性あるアクセサリーは、取り付け部に直接接触することで、機器ハウジング、ケーブルシールド、および必要に応じて EMC フィルターハウジングの非常に優れた等電位化を可能にします。

マウンティングプレートに固定できない非常に重い実装機器は、適切な耐荷重用取り付け部品によって、エンクロージャーのボトム、または、フレーム構造のエンクロージャーの場合は、水平のフレームプロファイル上に、確実に固定する必要があります。

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)

エンクロージャーは、様々な用途に使用されますが、これはリタールによく寄せられる質問です。この質問に答えるには、主に3つのケースを確認する必要があります。1つ目は、エンクロージャーの設置場所までの運搬、2つ目は、設置場所での固定方法 (安定性)、3つ目は、エンクロージャー内へのケーブルの引き込み方法です。これら3つのケースは、必要なアクセサリの選択に直接影響します。これは、実際には、すべてのユースケースに対するソリューションを得るためには、様々な設置支援が必要であることを、すでに示しています。

「運搬」

エンクロージャーをクレーンで吊り上げながら移動させる場合は、ベースは必要ありません。エンクロージャーをフォークリフトやパレットトラックで運搬する必要がある場合は、重い物を支えうるコーナーピースと個別の (取り外し可能な) ベースサイド部で構成されるモジュラー構造であり、エンクロージャーフレームが荷重を支えることができれば、ベースは理にかなっています。

「固定方法 (安定性)」

振動や衝撃荷重による影響を無くすために、床への可能な限り堅固な固定が必要な場合は、ベースは不要になり、エンクロージャーフレームが床に直接ねじ留めまたは溶接されます。機械的デカップリング (振動ダンパーやショックアブソーバーの使用) や床面に堅固に固定するため (地震対策ベースの使用など) の特殊な固定方法もあります。

「ケーブルの引き込み」

フロアダクトのない設置場所でのケーブル引き込みには、ベースは必然的に必要になります。モジュール式構造のベースは、適切なアクセサリーの使用で、エンクロージャー列の下でのケーブル配線をサポートし、保護されたスペース (エンクロージャー本体) の外での機械的な張力緩和を可能にします。さらに、ベースは、必要に応じて、ケーブルの余分な長さを保管するスペースをも提供します。この場合、EMC の観点から、ケーブルはリング状に保管するのではなく、曲がりくねった形で保管する必要があります。密閉型ベース (きれいな環境では、エンクロージャーの換気をサポートする、通気仕様トリムパネルの使用も可能) のほかに、平らでない床に、単独で、またはベースと組み合わせて使用できるレベル調整脚も大いに役立つ可能性があります。

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)

これは暑い夏の数ヶ月間に、または熱帯諸国でのエンクロージャーの設置に関連して、頻繁にリタールに寄せられる質問です。基本的な懸念事項は、通常、エンクロージャー内の結露の発生とその結果に関するものです。

次の3つの基本的な観点から答えを導きだすことができます:それは、目標内部温度と最大周囲温度の温度差 (周囲温度より低く冷却する必要がありますか?)、エンクロージャー内の電気システムの動作時間 (電気システムが完全にオフになる時間はありますか?)、さらに、環境条件に対する電気システムの保護 (高い保護等級が必要ですか?) です。

このような質問への答えは通常、「はい、しかし...」で始まります。

エンクロージャー内の目標温度が周囲温度を大幅に下回る場合は、冷却を行う必要があります。そして、エンクロージャーを開くと、クーリングユニットの冷たい気流にさらされた個々のコンポーネントや部品の表面に、瞬時に結露が発生する可能性があります。

電気システムが完全にオフになると、周囲温度の急激な低下と良好なエンクロージャーのシーリング (IP 55) により、エンクロージャーの内面に結露が発生し、ボトムエリアに水がたまる可能性があります。

エンクロージャー内の結露問題を回避するためには、様々な方法があります:

  • 周囲温度より少なくとも 5°C 高い内部温度をアクセプトする強制換気による放熱
  • 強制冷却をオフにした後の、ドアを開く前の十分な「ウォームアップ時間」
  • 内部温度を常に周囲温度より十分に高く保ち、壁の結露を防ぐ、「停止時用ヒーター」の使用

損傷のあるコーティング部が腐食するというリスクを伴う、内部温度の過度の低下による外面での結露の発生も見逃すわけにはいきません。

これらの問題を回避するための最適なソリューションは、それぞれの要件を正確に把握することによってのみ決定できます。

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)

これはリタールにとってはかなりまれな質問ですが、導体電流が200 Aを超えるエネルギー ディストリビューターに関しては、頻繁に出てきます。

エンクロージャー内の機器類の部分的な加熱には様々な原因が考えられます。導線接続端子、保護装置や開閉器などの電流が流れる部品の場合、接触不良、エンクロージャー内の高すぎる実装密度、不十分な放熱面、または単に、最高負荷時に必要な放熱面積が正しく計算されていないことなどが原因で、電気による熱損失が「ホットスポット (熱だまり)」に変わり、それが災いして、短絡 (ショート) や火災の発生につながる絶縁体の損傷につながる可能性があります。

しかし、コンパクトエンクロージャーのグランドプレートやバスバーシステムの固定用クロスビームなどの受動的なメカニカルパーツが、赤外線による点検の際に、高すぎる温度によって目立ったとしたら、何がその原因であろうか?

パネルビルダーにとって重要な規格である DIN EN 61439-1 の下位条項 10.10.4「加熱に関する構造的証明...専門的評価による」の中にヒントが記載されています。

200 A を超える電流を流す導体と隣接する構造部品は、渦電流とヒステリシス損失が最小限に抑えられるように配置することが重要です。ここでは、すべての電流を取り巻く磁界の影響について説明します。この磁界は電流の向きに対して垂直であり、導電性材料に渦電流や磁界の向きの変化を引き起こし、それに伴い、局所的な強い熱の発生を引き起こす原因となる可能性があります。

実際には、これは、送り側の導体と戻り側の導体が空間的に別々に (ケーブルとしてではなく)、例えば、絶縁された単導体またはバスバーによる基本的な形式によって配線された場合、間隔をできるだけ小さく保つ必要があることを意味します。また、このような導体を、面に対して垂直に配線 (設置) する固定部品や金属面には、できるだけ薄く、導電性の低い材料、可能であれば絶縁材を使用することが好ましいです。

それぞれの導体 (導線) が非常に隣接しているケーブルは、送りと戻りの電流が常に同じ値であるため、磁界による影響を与えません。これら各導線の磁界の向きが逆であるため、磁界を打ち消し合うからです。結果的に、渦電流による熱の発生や磁界の向きの変化による熱の発生はない、あるいは知覚できない程度にしか発生しないことになります。

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)

EMC の要求を満たすエンクロージャーに関する「長期にわたる質問」は、ケーブルシールドの接触または「アース」です。今日において、シールドケーブルの使用は、エンクロージャー内および外部の操作機器の両方で、電磁環境下での電力、制御、および通信システムの可用性を確保するための不可欠な前提条件となっています。

簡単に言うと、ケーブルシールドは、システムからの不要なノイズの放射とシステム内へのノイズの侵入を防止することを役目としています。このノイズ対策は、ハウジングの配線孔 (入口・出口) で、シールドが電気的にしっかり接続されている場合にのみ実現されます (ハウジングが導電性の材料で造られている場合)。最終目的は、エンクロージャー、ケーブルシールド、および機器用ハウジングで構成される完全なシールド構造を得ることです。

例えば、絶縁材でできたモーター接続用ハウジングを機器用ハウジングとして使用する場合は、ケーブルシールドの端部を (端子台経由で) モーターハウジングに接続する必要があります。ハウジングがセンサーなどのような絶縁材ハウジングである場合、ケーブルシールドは、可能であれば、その装置の導電性のある部分の基準電位 (GND) に接続する必要があります。

エンクロージャー側では、可能であれば、エンクロージャーの片側の取り付け面に、すべてのシールドケーブルを EMC ケーブルグランドを使用して、適切に接続します。これにより、ケーブルシールドの相互の最適な等電位化も実現されます。

適切な EMC ケーブルグランドを使用できない場合は、シールドレールとコンタクトクランプの適切な組み合わせを介して、ケーブルシールドを配線孔 (入口・出口) のできるだけ近くに接続する必要があります。この場合、相互の接触面を可能な限り大きくすること、またレールからマウンティングプレートまでの平編アースストラップを短くすることが重要です。また、シールドの接触は、ケーブルの機械的張力緩和とは別にする必要があることにも注意してください。

設備によっては、ケーブルシールドに大きな電流が流れる可能性があるため、十分な電流容量の確保に注意する必要もあります。金属製の接触システムは、導電性のコーティングが施されているプラスチック製の接触システムよりも優れています。

著者:Hartmut Lohrey、リーダー (マーケティング、トレーニング / サポート)